知識は旅をする 千葉県立東部図書館だより 通号77号 2023年6月発行 テキスト版 【1ページ】   {図} 『浅倉一代記』(一勇斎 国芳/画(「菜の花ライブラリー」千葉県デジタルアーカイブ)) {図終わり} ▼ 日本の近代美術・文学に偉大な足跡を残した高村光太郎  日本の近代美術・文学に偉大な足跡を残した高村光太郎は、今年生誕140年を迎えます。「僕の前に道はない/僕の後ろに道は出來る」のフレーズで有名な「道程」や十和田湖畔の『乙女の像』を始めとする彫刻作品で広く知られる、近代文学・美術界の偉人です。中でも特に人々に愛される詩集『智恵子抄』の中に、千葉県を舞台にした作品があることをご存じでしたか? そんな高村光太郎にちなんだガラス展示と文学講座を開催します。詳しくは以下の案内をご確認ください。 {写真} {写真の説明}「高村光太郎生誕140周年」展示の様子{写真の説明終わり} {写真終わり} ▼ ガラス展示コーナーのご案内 テーマ:「高村光太郎生誕140 周年」 展示期間:4月22日 ~ 6月30日 展示場所:ガラス展示コーナー(入口すぐ左、休憩コーナー手前) 光太郎の歩みや作品、妻・智恵子を始めとする周辺人物について知ることのできる資料を展示します。 光太郎が翻訳・執筆した大正時代の出版物も並びます。この機会にぜひお手に取ってご覧ください。 ▼ 文学講座のご案内 演題:「高村光太郎・智恵子と房総」 日時:6月24日(土)午後2時~4時 講師:小山弘明氏(高村光太郎連翹忌運営委員会代表) 会場:東部図書館3階研修室定員:30名(先着) 申込方法:電話(0479-62-7070)もしくはカウンターへお伝えください。 本講座では、光太郎と妻・智恵子の波乱に満ちた生涯に触れ、二人が訪れた銚子・犬吠埼、成田・三里塚、九十九里浜を資料とともに辿ります。(聴講無料) ▼ はつらつ音読教室のご案内 日時:6月30日(金)午後1時半~2時半 会場:東部図書館3階研修室 定員:15名(先着) 申込方法:電話(0479-62-7070)もしくはカウンターへお伝えください。 いつもはひとりで黙々と読む詩や小説の名句を、みんなで声に出して読んでみましょう。軽い運動を楽しむ気分で、お気軽にご参加ください。(参加無料) 千葉県立図書館WebサイトPC・スマホ{QRコード} 千葉県立図書館Webサイト携帯電話{QRコード} 千葉県立図書館Twitter{QRコード} 【2ページ】 読書バリアフリー バリア barrier とは「障害物・障壁」のこと、バリアフリー barrier-free とは「バリアが取り除かれている」状態のこと。 県立図書館は、読書の壁となる様々な要素を取り除き、誰もが困難を感じずに読書ができるようにするためのサービスを、どんどん広げています。 文字を大きく 大活字本:人気の小説や実用書などが、通常の4倍ほどの大きさの文字で印刷された本。弱視や老眼の方の読書のストレスを軽減します。 拡大読書器:紙面をレンズで大きくして画面に映し出すことのできる機械。白黒反転機能もあります。大活字本が出版されていない本や雑誌などもその場で拡大できて便利です。 わかりやすく リーディングトラッカー:ページに当てて不要な情報を隠し、自分がいま読んでいる行を強調することのできる小道具。 LLブック:ピクトグラム(絵記号)やふりがななどをふんだんに使った本。日本語が得意でない人にもパッと見て理解しやすいよう工夫されています。 音声で代替 録音図書:活字を読むことが難しい人のために作製された、耳で聞くことのできる本。県立図書館にない本も、取り寄せやダウンロードを申し込んで利用することができます。聞きたい本が音声化されていなければ、作製リクエストも可能です。郵送のサービスも選べて本当に便利! 対面朗読:同じく、活字を読むことが難しい人のために、ご希望の本を音訳者が直接読み上げるサービス(要予約)。「この雑誌のこの記事だけ読みたい」「グラフで表された数値を説明してほしい」など、細かい依頼をすることもできます。図書館内の対面朗読室で行う従来のスタイルに加え、Zoom などを使ったオンラインサービスも開始しました。 もちろん展示の本も 点字図書・点訳絵本、布の絵本:取り寄せ可能! 視力が弱くても、体が思うように動かなくても、読書の楽しみをあきらめることはありません。人生にふたたび「本」という相棒を。お気軽にご相談ください! サービスWEBページ(QRコード) 千葉県は令和5年3月に「読書バリアフリー推進計画」を策定しました 【3ページ】 図書館ぶらり散歩(57) 1923年 今年度で千葉県立図書館は100周年を迎えます。東部図書館の本とともに、1923年を振り返ってみましょう。 [ ]内は資料の請求記号です。 『むかしの味』 池波正太郎著 新潮社 1984年 [596/I34]  100 年前の1923 年は池波正太郎生誕の年です。『鬼平犯科帳』をはじめとする数多くの時代小説を発表したほか、美食家としても知られています。  『むかしの味』は、ポークソテー、カレーライス、クリーム・ソーダなど、むかしながらの味を楽しめる飲食店を著者が食べ歩いた記録です。初めて食べた時のエピソードや、お店に縁のある人々とのつながりが描かれています。池波氏も愛した懐かしい味に思いをはせてみませんか? 『エステルハージ博士の事件簿』 アヴラム・デイヴィッドスン著 河出書房新社 2010年  [9337/テア7]  1923 年生まれの著者アヴラム・デイヴィッドスンは、日本ではあまり知られていませんが、ヒューゴー賞やエドガー賞などSFやファンタジー、ミステリーの分野において名だたる文学賞を受賞、本作も1976 年世界幻想文学大賞を受賞しています。  エステルハージ博士を主人公とした8篇の連作集。衒学的(げんがくてき)で人を選ぶ文章ですが、どれも異国のノスタルジーが感じられる素敵な作品です。 『トルコ家庭料理レシピ集』 アリ・タスバシ著 スパイク 1998年  [59622/13]  世界三大料理の一つにも数えられてるトルコ料理。2023 年はトルコ共和国建国100周年の年です。  オリーブオイルやヨーグルトをたっぷりと使った、トルコの家庭で親しまれている料理のレシピ集を紹介します。  「キュウリとヨーグルトのスープサラダ」や「白インゲン豆とラム肉の煮込み」など、食材の美味しさを生かした体に優しいレシピの数々。あなたのご家庭にも、エキゾチックな味わいを取り入れてみませんか? 『ハチ公物語』 田中一江著 集英社 1987年 [9136/TA84]  東京都渋谷区にあり、待ち合わせ場所として有名な「ハチ公像」。ハチは1923年に生まれ、今年で生誕100 周年!  この本は、その銅像になった秋田犬ハチのお話です。ハチにとって大切な上野先生が亡くなり、暑い日も寒い日も、どんなことがあっても渋谷へ行き、待ち続けるハチ。その姿に感動して涙が止まらなくなりました。映画を小説に起こしているので、大変読みやすくなっています。お話を知っている方にもおすすめの一冊です。 【4ページ】 〈こんな人、こんなこと、こんなところ⑪〉 New!! 香取市立佐原中央図書館 in KOMPAS {写真} {写真の説明}COMPAS内観{写真の説明終わり} {写真終わり}  香取市立佐原中央図書館に行ってきました!!  以前は佐原コミュニティセンター内に設置されており、外壁に赤レンガを模した重厚感のある落ち着いた佇まいでしたが、今回の移転により、その姿は大きく様変わりしました。取材に伺った日はあいにくの天気でしたが、高校生や親子連れなど地域の方々で大いに賑わっていました。  今回は、そんな地域に愛される佐原中央図書館の魅力をご紹介します。 魅力① 全館図書館 どこでも読書  図書館のメインフロアだけではなく、建物内のいたるところに小さな本棚とテーブル、椅子が設置されています。読みたいときに、いつでもどこでも気軽に読書ができる。まさに、全館が図書館となっています。 魅力② 親子でのびのび児童書架コーナー  1階には児童書架も設置されています。2階にある大人用の書架とは別の場所に設置されていて、保護者の方も周囲に気を使うことなく利用できそうです。書架と並行して、子ども達が好きな場所で思い思いに本を楽しめるような開放的な空間も広がっています。「おたのしみ絵本バッグ」(テーマ読書のおまかせセット)も始めたそうです。 魅力③ 飲み物の持込OK  全館飲み物の持込みができるので、図書館内でも資料を汚さないように気を付けながらであれば水分補給をすることができます。1階「ブックカフェ(座席利用は無料)」や、その奥にある隠れ家的スペース「市民ラウンジ(有料)」、3階の共有スペース(無料)では、食事をとることもできます。 魅力④ セルフ貸出機と読書通帳  セルフ貸出機を使えば、本を台の上に置いてから利用者カードやスマホで呼び出したバーコードを機械にかざすだけで貸出処理が完了します。その使いやすさが高齢者や子ども達に人気のようです。  さらに、借りた本の価格を積算してくれる「読書通帳」も盛況で、通帳の中身は本物の貯金通帳と見紛うほどです。この通帳利用に年齢制限はなく、利用者カードを持っている人なら誰でも無料で発行してもらえるそうです。  佐原中央図書館が入っている「KOMPAS(みんなの賑わい交流拠点コンパス)」は、佐原駅南口徒歩4分の場所にある4階建ての複合施設です。令和4年12月25日にオープンした施設のシンボルマークは、香取市が誇る測量家「伊能忠敬」が使用した天体観測機器の象限儀と、伊能図に用いられるコンパスローズ(羅針図)を掛け合わせたデザイン。24時間利用できる駐車場(施設利用者はサービス券で3時間まで無料)もあります。 {写真} {写真の説明}COMPAS外観{写真の説明終わり} {写真終わり} 県立図書館では伊能忠敬や佐原に関する資料を所蔵しています。 ※【 】内は所蔵館と請求記号 *『星に惹かれた男たち 江戸の天文学者間重富と伊能忠敬』(鳴海 風 著)【東部44021/5】 *『大河への道』(立川 志の輔 原作)【東部C936/タシ2】 *『佐原のうわさばなし 麦の会叢書 第57 篇』(五喜田 正巳 編)【東部C388/21】 *『佐原の大祭 「ユネスコ無形文化遺産登録」「日本遺産指定」記念』(佐原アカデミア 編)【東部C386/42】 編集長の独り言  もうすぐ県民の日ですが、今年は千葉県が誕生して150周年となります。県内各地でも様々な記念事業を行っていますので、ぜひご参加ください。当館でも秋頃に150年を振り返る展示を予定しています。   編集・発行:千葉県立東部図書館 〒289-2521 千葉県旭市ハの349 TEL 0479-62-7070 FAX 0479-62-7466 以上で知識は旅をする 千葉県立東部図書館だより 通号77号 2023年6月発行 テキスト版を終わります。