千葉文化 千葉県立中央図書館報 通号254号 2023年3月1日発行 テキスト版 {1ページ} 資料散策 70 『真間中山詣』 滕耕徳《とうこうとく》/書 1790(寛政2)年  江戸・日本橋から下総国・真間中山に向かい、戻るまでの道の名所旧跡や景観を紹介する往来物《おうらいもの》。「往来物」とは寺子屋などで広く使われた教科書のことで、「往来」ともいいます。  巻頭の真間中山周辺を描いた図には、弘法寺《ぐほうじ》、手児那《てこな》明神、総寧寺《そうねいじ》などの神社仏閣がみえます。本文は全一通の手紙文で各所の景観、名物などを紹介しており、旅の風情を感じることができます。千葉県立図書館ホームページの「菜の花ライブラリー」(千葉県デジタルアーカイブ)でもご覧いただけます。 〔写真〕 〔製作者注〕『真間中山詣』に掲載されている寺や名所の俯瞰図と説明書きの写真。〔製作者注終わり〕 〔写真図終わり〕 {2ページ} 千葉県150周年 ~県の史誌を振り返る~ 〔写真〕 背景画像:「千葉県管内実測全図」(『千葉県誌』付録) 〔製作者注〕見出しの背景に書影がある〔製作者注終わり〕 〔写真図終わり〕  明治6(1873)年6月15日、当時の木更津県と印旛県が合併し、千葉県が誕生しました。令和5(2023)年は千葉県が誕生して150周年の節目の年です。  今回は、千葉県の成立からこれまでに県や郡が発行した自治体史を紹介します。 千葉県誌 巻上・巻下  大正8(1919)年  明治35(1902)年、県会の決議により、千葉県史の編纂事業が企画されました。同年4月から編纂が始まり、明治41(1908)年に稿本が書き上げられましたが、しばらくそのままになっていました。  大正3(1914)年になってこの稿本を出版することが決まり、さらに 調査・校訂を重ねた上で、大正8(1919)年5月、着手から17年の歳月を経てようやく刊行されました。しかしその「緒言」には、まだ完全ではないため改版が待たれる旨が書かれています。  上巻は自然地理・人文地理、下巻は通史・人物・史跡に関する事項が掲載されています。当時としては写真や図版が豊富に収録されています。 〔写真〕 〔製作者注〕千葉県誌 上下巻の写真〔製作者注終わり〕 〔写真終わり〕 千葉県十二郡誌 大正2(1913)年~昭和2(1927)年  県内12郡(千葉・東葛飾・印旛・香取・ 海上・匝瑳・市原・長生・山武・君津・夷隅・安房)の教育会の主導により、郡に関する地理・歴史・人物・風俗等をまとめた郡誌がそれぞれ刊行されました。編纂目的は、愛郷心を高めて自治の発展に役立てるためとされ、大正天皇即位記念事業として編纂されたものもあります。  構成や分量は郡によって異なりますが、郡内の町村誌を併せて収録しているものが多く、最も大部の『千葉県東葛飾郡誌』は全2,436ページにも及びます。  各郡誌は、千葉県立図書館ホームページ「菜の花ライブラリー」にてご覧いただけます。(https://www.library.pref.chiba.lg.jp/nanohana/archive/guide_07.html) 〔写真〕 〔製作者注〕書架に並んだ各郡誌の写真〔製作者注終わり〕 〔写真終わり〕 レファレンスサービスのご紹介  レファレンスサービスとは、知りたい資料や情報を、図書・雑誌・新聞・電子情報などから探すためのご案内、資料提供や情報提示をして、調べもののお手伝いをするサービスです。「『○○』という本はあるか」、「あるテーマの本を探している」、「ある事実そのものを確認したい」。そんな場合には、ぜひ県立図書館にお問い合わせください。カウンターの他、メールや電話でも受け付けています。  質問 和歌「弓張の月のやどれる底を見てなるかの海に海士のいるらん」の作者を知りたい。 〔回答は3ページ末に掲載〕 {3ページ} 千葉県史料 昭和29(1954)年~平成3(1991)年 千葉県史(明治編・大正昭和編) 昭和37(1962)年~昭和42(1967)年  大正以来の県史編纂事業が開始したのは終戦後の昭和25(1950)年です。この頃、戦後の混乱によって失われる史料は少なくありませんでした。そのような中で始まった県史編纂事業は、県内に散在する史料を集録することに主力を注いで行われました。そしてできあがったのが、県内の古文書類を収集・掲載した『千葉県史料』32巻と、通史編にあたる『千葉県史』明治編・大正昭和編です。今では史料編と通史編という構成は珍しくありませんが、史料編の刊行は当時全国的に見ても珍しく、その後の県内市町村史編纂にも影響を与えたと言われます。この編纂作業は、県立中央図書館長だった廿日出逸暁をはじめ、複数の図書館員も加わって行われました。 〔写真〕 〔製作者注〕書架に並んだ千葉県史料の写真〔製作者注終わり〕 〔写真終わり〕 千葉県の歴史 通史編・資料編・別編  平成8(1996)年~平成21(2009)年 千葉県の自然誌 本編・別編  平成8(1996)年~平成17(2005)年  旧県史『千葉県史』は近代史を中心に作られたもので、近世以前についての通史編は作成されませんでした。近年の社会情勢の大きな変化もあり、近世以前の通史とあわせて補うことで更に充実させようと、平成3(1991)年から新県史の編纂が始まりました。  新県史は平成21(2009)年までの18年間にわたって編纂・刊行され、歴史系39巻と自然誌系12巻の全51巻で構成されています。動植物、地学分野を網羅した総合的な自然誌は、全国初の取り組みでもあります。  平成14(2002)年からは点字版の作成も始まっており、令和4(2022)年時点では、通史編8巻のうち5巻の点字版が刊行されています。 〔写真〕 〔製作者注〕書架に並んだ千葉県の歴史、千葉県の自然誌の写真〔製作者注終わり〕 〔写真終わり〕 回答 〔2ページのレファレンスサービスの質問に対する回答〕  作者は「平祐挙(たいらすけたか、たいらのすけたか)」。以下の資料に記載があります。 【資料1】『新編国歌大観 第2巻 [1] 私撰集編』 (「新編国歌大観」編集委員会編 角川書店 1984)p695 「夫木和歌抄巻第二十三雑部五」、新編国歌大観の番号「一〇三三一」 「家集、上総なるかのうみ 平祐挙  弓はりの月のやどれる底をみてなるかの海にあまのいるらん」 【資料2】『日本伝説叢書 上総の巻』(藤沢衛彦編著 すばる書房 1977)p90 「弓張の月のやどれる底を見てなるかの海にあまの入るらん。(「夫木集」-祐擧)」 【資料3】『千葉県誌 巻下』(千葉県編纂 多田屋書店 1919)p676 「勝浦町に在り、夫木集祐擧の歌に、弓張の月の宿れる底を見て奈流迦の海に蜑の入るらん」 {4ページ} 「親子で楽しむ昔話」を開催しました  令和4年8月6日(土)・7日(日)の2日間にわたり、県立房総のむらの夏のイベント「むらの縁日・夕涼み」で「親子で楽しむ昔話」を開催しました。房総のむらにある「上総の農家」という茅葺きの建物で、わらべうたや昔話の素話、地域の伝説を扱った絵本の読み語りなどを行いました。  延べ22組70名と多くの方が来場され、安食や印旛沼など千葉県の地名が出てくる場面では、歓声も上がるなど、昔話を楽しんでいる様子でした。 〔写真〕 〔製作者注〕親子連れでにぎわう「親子で楽しむ昔話」の写真〔製作者注終わり〕 〔写真終わり〕 ツイッターで発信しています  新着図書、おすすめの本の紹介、館の運営状況などをツイートしています。  右の二次元コードをスマートフォンのカメラや二次元コードのアプリで読み取ると、県立図書館公式ツイッターアカウントへアクセスできます。 https://twitter.com/chibaken_lib 〔写真〕 〔製作者注〕公式Twitterのスクリーンショット〔製作者注終わり〕 〔写真終わり〕 〔図〕 二次元コード 〔図終わり〕 長柄町公民館 ~ルポルタージュ千葉70~  令和4年10月、房総のど真ん中、長柄町の公民館が新しく生まれ変わりました。新たな公民館の愛称は「ながランホール」。町のマスコットキャラクター「ながラン」にちなみ名付けられました。天井や壁に千葉県産の杉材を使用したり、ホール内に樹木を配置したりと、目にも優しい、くつろぎの空間となるよう配慮されています。  図書室は、利用者が開放感を覚えやすい工夫がなされています。さらに、廊下や隣接する交流ラウンジとの間の扉や壁を取り除くことによって、「図書スペース」として誰でも気軽に立ち寄れるような構造になっています。  また、長柄町では、以前から児童コーナーの充実を図ってきました。その流れは新館でも踏襲されており、全体の1/3以上が児童スペースに割り当てられています。また、児童用の椅子・テーブルや絨毯コーナーも設けられ、子どもたちが本に親しみやすい環境が整っています。  なお、公民館内には新たに学童クラブが併設されました。  図書室では、学童クラブ全体へ定期的な貸出を行うとともに、学童に通う子ども個々への貸出にも対応するなど、子どもの読書活動を支援しています。 〔写真〕 〔製作者注〕長柄公民館の外観と館内の写真。〔製作者注終わり〕 〔写真終わり〕 <利用案内> 〒297-0218 千葉県長生郡長柄町桜谷690 Tel 0475-35-3242 開館時間 9時~17時 休館日 月曜日 ※月曜日が祝日のときは、最も近い平日 12月28日~1月3日 特別な事情で館長が休館と認めた日 https://www.town.nagara.chiba.jp/soshiki/9/118.html 千葉文化 第二五四号 令和五年三月一日発行 発行所 千葉県立中央図書館 千葉市中央区市場町十一ノ一 千葉県立中央図書館 〒260-8660千葉市中央区市場町11-1 TEL043-222-0116 https://www.library.pref.chiba.lg.jp/   以上で千葉文化 千葉県立中央図書館報 通号254号 2023年3月1日発行 テキスト版を終わります。