明治政府はその成立後に一般的な日本史の編纂を企画し、その基礎資料として各県に各々の沿革を提出することを命じた(明治7年11月10日の太政官達第147号)。
これに応じて千葉県で作成したものについては、正本を内閣文庫で、副本を「千葉県歴史原稿」として当館で所蔵している(一部欠本あり)。内閣文庫所蔵資料についても、現在は「国立公文書館デジタルアーカイブ」で検索・閲覧が可能である。
明治6年の千葉県成立以前の諸県の歴史の編纂材料をまとめたものが「○○県歴史原稿」と呼ばれるもので、一部は現存しない。また、「千葉県歴史原稿」は明治8年以降も毎年書き継がれて、明治18年まで続いている。 分類・記述の方法は、明治9年の例示では、政治部(県治・拓地・勧農・工業・刑賞・賑恤・祭典・戸口・民俗・学校・駅逓・警保・忠孝節義・騒擾事変)と制度部(租法・職制・禄制・兵制・刑法・禁令・会計)の二部に分けての編述が求められた。当時の状況を知ることのできる貴重な史料である。
内閣文庫所蔵資料を原本に、当館所蔵資料を参照して『千葉県史料 近代篇 明治初期1~3』(千葉県史編纂審議会編 千葉県 昭和43-45)で翻刻されている。
明治21年6月に「町村合併基準」が通達され、千葉県でも町村合併へ向けての基礎的な調査が行われた。この事業に関する公文書を編冊したものである。ただし、当時県内21郡あったうち、東葛飾郡、下埴生郡、香取郡、朝夷郡については、町村別資料が欠けている。
『千葉県の歴史 資料編 近現代1(政治・行政1)』第三章「地方自治制の施行」に各郡の概説をまとめた「新町村組織要領」が翻刻され、掲載されている。