タイトルコード |
1000101057672 |
書誌種別 |
図書 |
書名 |
犠牲の森で |
書名ヨミ |
ギセイ ノ モリ デ |
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大江健三郎の死生観 |
言語区分 |
日本語 |
著者名 |
菊間 晴子/著
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著者名ヨミ |
キクマ ハルコ |
出版地 |
東京 |
出版者 |
東京大学出版会
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出版年月 |
2023.3 |
本体価格 |
¥4800 |
ISBN |
978-4-13-086064-2 |
ISBN |
4-13-086064-2 |
数量 |
7,484,9p |
大きさ |
20cm |
分類記号 |
910.268
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個人件名 |
大江 健三郎 |
注記 |
文献:p469〜484 |
内容紹介 |
殺された獣たちの亡霊、超越的存在としての樹木-。大江健三郎の作品の初期から後期作品までを対象に、その作品世界に満ちる独特なイメージ群を紐解き、「死生観」という切り口から作家の全体像に迫る。 |
著者紹介 |
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。同大学大学院人文社会系研究科特任研究員・総合文化研究科教務補佐員。青山学院大学・昭和女子大学・明治学院大学非常勤講師。博士(学術)。 |
目次タイトル |
序論 「死生観」から大江を読む |
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第Ⅰ部 「壊す人」の多面性-『同時代ゲーム』 |
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第一章 『同時代ゲーム』の背景 |
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一 はじめに 二 「周縁」へ-「異化」 三 「周縁」へ-「グロテスク・リアリズム」 四 同時代へのアプローチ 五 「理論のキャラクター化」としての「壊す人」 |
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第二章 「犬ほどの大きさのもの」 |
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一 「壊す人」の再生譚 二 メキシコの動物たち 三 「村=国家=小宇宙」における犠牲獣たち 四 「牛鬼」の表象 五 大瀬の地に伝承される「牛鬼」 六 「牛鬼」はどこから来たのか 七 犠牲獣の亡霊としての「牛鬼」 八 半獣半人の「壊す人」像 九 犠牲獣としての「壊す人」 |
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第三章 「暗い巨人」への帰依 |
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一 憑依する「壊す人」 二 「壊す人」の巨大な肉体 三 犠牲獣となることへの欲望 四 「壊す人」との交感-「「罪のゆるし」のあお草」 五 シャーマンとしての「僕」 六 森に存する土着の神 七 「神なる人間性」の宿る森 八 『同時代ゲーム』に示された死生観と「壊す人」像 |
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第四章 「森」という神秘のトポス |
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一 「谷間の村」とは 二 大瀬という場所 三 「森」の多様性 四 「異界」としての「森」 五 大瀬の森へのまなざし |
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第Ⅱ部 犠牲獣の亡霊 |
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第一章 皮を剝がれた獣たち |
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一 はじめに 二 「奇妙な仕事」の「犬」たち 三 皮剝ぎという行為の意義 四 人間と動物とをつなぐ紐帯 五 皮剝ぎのエロティシズム 六 供犠としての犬殺し 七 亡霊を生み出す供犠 八 亡霊のまなざし-「共同生活」 九 「カンガルーほどの赤んぼう」-「空の怪物アグイー」 一〇 「アグイー」の亡霊性 |
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第二章 「御霊」を生むまなざし |
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一 共同体における犠牲をめぐって 二 「犠牲羊」としてのジン-『万延元年のフットボール』 三 共同体における犠牲としての鷹四 四 「身代りの山羊」の「御霊」化 五 「サルダヒコ」のような縊死体 六 「再審」、そして「穴」からの出立をめぐって 七 犠牲獣による語り-「核時代の森の隠遁者」 八 隠遁者ギーによるパフォーマンス 九 犠牲獣へのまなざしの倫理 |
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第三章 隠された「生首」 |
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一 「本当の首」を見ることはできない 二 犠牲獣の「首」を迂回する語り-七〇年代 三 奇妙な「首」なし死体-八〇年代 四 Mさんの「生首」と「蚤の幽霊」 五 三島由紀夫の「身体演技」 六 想像力によるイメージの「歪形」 七 「首」の埋葬と再生-『M/Tと森のフシギの物語』 八 亡霊性とメディア |
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第四章 「後期の仕事」における亡霊との対話 |
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一 「後期の仕事」という実践 二 「レイト・スタイル」に対する独自の意味づけ 三 「二人組」構造と供犠 四 「二人組」構造の「書き直し」 五 「後期の仕事」の課題 六 「ズレ」をつなぐ通信装置としての「田亀」-『取り替え子』 七 「田亀」のシステムにおける死者の声 八 「対話」の崩壊 九 亡霊性の忘却としての「生み直し」のヴィジョン 一〇 ヴィデオカメラを前にした対話-『さようなら、私の本よ!』 一一 「死んだ犬を投げる」芝居-『水死』 一二 「田亀」の再解釈-『晩年様式集』 一三 「アグイー」の再来 一四 亡霊に対する「責任=応答可能性」 一五 「私ら」という「希望」 |
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第Ⅲ部 「総体」をめぐる想像力 |
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第一章 自己犠牲と救済 |
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一 はじめに 二 まなざしを斥ける「鎧」 三 死の恐怖を克服させる「純粋天皇」 四 「永遠の大樹木」としての「純粋天皇」表象 五 「信仰」の対象としての「総体」 六 構造体としての「黄金の菊の花」 七 供犠における盲目的同一化 八 「一」としての「鯨の木」-『洪水はわが魂に及び』 九 到達し得ない「一」 一〇 「雨の木」という宇宙モデル-『「雨の木」を聴く女たち』 一一 「一」をめぐる想像力-「神なる人間性」と女性性 一二 「精神世界」の諸潮流との関係 一三 コンミューンをめぐる問い |
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第二章 救済を担う大樹 |
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一 「テン窪大檜」とは 二 『懐かしい年への手紙』におけるテン窪 三 「世界の中心」としてのテン窪大檜 四 『燃えあがる緑の木』におけるテン窪の変容 五 「燃えあがる緑の木」教会における「祈り」 六 「祈る」人間の象徴としての樹木 七 「中心」に依拠しない救済 八 供犠小説としての『燃えあがる緑の木』 九 テン窪大檜のその後 |
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第三章 聖なる窪地と亡霊たち |
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一 聖地「テン窪」 二 大江作品における窪地表象の系譜 三 生の痕跡としての「穴」 四 亡霊を沈めた聖地 五 テン窪造形の背景-大瀬北地域 六 大瀬北地域に刻まれた「穴」 七 現実世界と作品世界のあわいで |
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補論 テン窪を探して |
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一 テン窪にモデルは存在するか 二 中野 三 大久保 四 大瀬北 |
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第四章 「神」なき「祈り」の場 |
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一 終末思想とその帰結への応答 二 「総体」をめぐる想像力の解体 三 「総体」としての「神」 四 「反キリスト」として「神」に対峙する 五 「古い人」としての「反キリスト」へ 六 焼身自殺 七 「神」への同一化の欲望 八 「最後の小説」の「書き直し」 九 「再臨」する「獣」 一〇 セクシュアリティと救済 一一 「神」をめぐる想像力と「祈り」 一二 テン窪大檜の焼失 |
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結論 「犠牲の森」の変容 |