千葉県の伝統的な産業

図書館では、千葉県に関するさまざまな質問をいただきますが、千葉県の伝統的な産業についてもたくさん問い合わせをいただきます。
そこで、子どもの読書活動推進センターでは、「千葉県の伝統的な産業」として、20項目の産業についてのブックリストを作成しました。

ご利用方法

  • よく質問される千葉県の伝統的な産業20項目について、その産業の情報が書かれている資料等を、対象順(小学中=小学校中学年、小学高=小学校高学年、中学生、一般、同対象の中は出版年順)に掲載しています。
  • 「対象」はおおよその目安です。
  • 「おすすめ度」とは、材料や製作工程など、説明が多く、調べ学習をする際におすすめできる資料のことです。
  • リストには一般資料が多いですが、小学生でも読むことができる内容も多くあります。
  • 資料は貸出しやお近くの図書館・読書施設を通じて取り寄せができます。一部貸出しのできない資料がありますので、ご利用の際は、県立図書館までお問い合わせください。
    図書館・読書施設の一覧はこちら
印旛竹細工(いんばたけざいく)
印旛竹細工リストへのリンク 印旛竹細工紹介へのリンク
雨城楊枝(うじょうようじ)
雨情楊枝リストへのリンク 雨情楊枝紹介へのリンク
上総角凧(かずさかくだこ)
上総角凧リストへのリンク 上総角凧紹介へのリンク
上総獅子頭(かずさししがしら)
上総獅子頭リストへのリンク 上総獅子頭紹介へのリンク
行徳神輿(ぎょうとくみこし)
行徳神輿リストへのリンク 行徳神輿へのリンク
佐原張子(さわらはりこ)
佐原張子リストへのリンク 佐原張子紹介へのリンク
芝原人形(しばはらにんぎょう)
芝原人形リストへのリンク 芝原人形紹介へのリンク
下総組紐(しもうさくみひも)
下総組紐リストへのリンク 下総組紐紹介へのリンク
下総鋏(しもうさばさみ)
下総鋏リストへのリンク 下総鋏紹介へのリンク
大漁旗(たいりょうばた)
大漁旗リストへのリンク 大漁旗紹介へのリンク
建具組子(たてぐくみこ)
建具組子リストへのリンク 建具組子紹介へのリンク
樽(たる)
樽リストへのリンク 樽紹介へのリンク
銚子縮(ちょうしちぢみ)
銚子縮リストへのリンク 銚子縮紹介へのリンク
唐桟織(とうざんおり)
唐桟織リストへのリンク 唐桟織紹介へのリンク
野田醤油(のだしょうゆ)
野田醤油リストへのリンク 野田醤油紹介へのリンク
房州うちわ(ぼうしゅううちわ)
房州うちわリストへのリンク 房州うちわ紹介へのリンク
房総打刃物(ぼうそううちはもの)
房総打刃物リストへのリンク 房総打刃物紹介へのリンク
本納絵馬(ほんのうえま)
本納絵馬リストへのリンク 本納絵馬紹介へのリンク
万祝(まいわい)
万祝リストへのリンク 万祝紹介へのリンク
八千代びな(やちよびな)
八千代びなリストへのリンク やちよびな紹介へのリンク

千葉県の伝統的な産業について

千葉県の伝統的な産業20項目について、それぞれの作られた経緯などをまとめました。
もっと詳しい情報を知りたいときは、それぞれの産業に関するブックリストの本をご覧ください。

☆出典について

出典にのっている本は、千葉県立図書館で所蔵しています。
インターネット情報の最終確認日は、2024年3月1日です。

産業名

地域・時代・作られた経緯・作り方・使われ方など

出典

1

印旛竹細工
(いんばたけざいく)

印旛竹細工は、千葉県の栄町で作られている。
竹を素材にして茶籠(かご)や花籠の竹細工。製作に用いられる煤竹(すすだけ)は古民家の屋根の骨組みに使用されていた真竹で、数百年かけて燻(いぶ)されて深い小豆色を表す。
『千葉県指定伝統的工芸品一覧 [2023] 房総に息づく手づくりの技』(千葉県商工労働部観光企画課、2023) 
『房総の伝統工芸』(東京電力千葉支店、出版年不明)

2

雨城楊枝
(うじょうようじ)

雨城楊枝は千葉県君津市を中心に作られている。
江戸時代に久留里藩(現:君津市)の武士たちが内職としてつくったのがはじまりとされる。
仲間であるクロモジの木をけずってつくられる、かおりのよい楊枝(ようじ)。久留里城の別名である雨城(うじょう)が名前の由来。大きめの楊枝に、いろいろな模様や細工がされている。
『都道府県別日本地理 2 ポプラディア情報館 関東地方』(小松 陽介 監修、ポプラ社、2010)
『ポプラディアプラス日本の地理 2 関東地方』(ポプラ社、2020)
君津市ホームページ「雨城楊枝(うじょうようじ)」

3

上総角凧
(かずさかくだこ)

上総角凧は上総地方、主に市原市で作られている。
江戸時代中期から作られるようになった。
元気な男の子に育つようにと端午(たんご)の節句のお祝いとして贈られる風習がある。伝統の絵柄として、熊と金太郎・鯉(こい)と金太郎や武者絵などがある。
『47都道府県の郷土玩具 2 関東地方・中部地方』(日本玩具博物館 監修、大月書店、2022)
『事典日本の地域ブランド・名産品』(日外アソシエーツ株式会社 編集、日外アソシエーツ、2009)

4

上総獅子頭
(かずさししがしら)

上総獅子頭は千葉県山武市を中心に作られている。
江戸中期頃、紀州から技術が伝わり上総や下総の職人に受け継がれた。
上総獅子頭の特徴(とくちょう)は歯であり、人間と同じように上あごの中に下歯がすっぽり入る状態である。また、上総の場合はオス・メスの区別がなく、舞(まい)によってオスとメスを表現する。
『「千葉県の伝統的工芸品」房総の匠百人展 展示解説図録』(千葉県立上総博物館編集、千葉県立上総博物館、2007)
『千葉県の伝統的工芸品 千葉県伝統的工芸品の実態調査報告書』(千葉県工業試験場生活工芸課編著、千葉県工業試験場、1990)

5

行徳神輿
(ぎょうとくみこし)

行徳神輿は、千葉県市川市の行徳地方を中心に作られている。
作られ始めたのは江戸時代ごろである。
江戸時代に塩田で栄えた行徳は、寺院や神社も多く建立された。
寺社の建築や修理のために宮大工も多く移り住み、その技術を活かした神輿(みこし)づくりが盛んになった。神輿は木組みに金具や鋳物(いもの)の飾りを付けて作る。
『ポプラディアプラス日本の地理 2 関東地方』(ポプラ社、2020)
『行徳の歴史と神輿と祭り』(行徳まちづくり協議会、2022)

6

佐原張子
(さわらはりこ)

佐原張子は千葉県香取市を中心に作られている。
明治末期から製作されている。
張子は型にうす手の和紙をはり重ねて作った郷土玩具(がんぐ)のひとつである。佐原張子はだるまやうさぎなどの人形のほかに、亀(かめ)車やカニ車といって、張子をゴムじかけで動くように細工した張子人形がある。
『千葉県の伝統的工芸品』(千葉県商工労働部観光物産課、[19‐‐])
『千葉県指定伝統的工芸品一覧 [2021] 房総に息づく手づくりの技』(千葉県商工労働部観光企画課、2021)

7

芝原人形
(しばはらにんぎょう)

芝原人形は、千葉県長南町で作り続けられている郷土玩具(がんぐ)である。
浅草の今戸人形を元に、明治初期から作り続けられている。
粘土(ねんど)板を抜型に入れ、乾燥、素焼きし、糊粉(こふん)をかけ、泥(どろ)絵具で彩色(さいしょく)した素朴(そぼく)な味わいのある人形。
『千葉県指定伝統的工芸品一覧 [2023] 房総に息づく手づくりの技』(千葉県商工労働部観光企画課、2023)
『「千葉県の伝統的工芸品」房総の匠百人展 展示解説図録』(千葉県立上総博物館編集、千葉県立上総博物館、2007)

8

下総組紐
(しもうさくみひも)

下総組紐は、千葉県佐倉市で作られている。
奈良時代より仏教文化とともに渡来。
日常生活に用いられるようになったのは、明治末頃からである。材料には絹糸を使い、絹糸を何本か合わせて組んで紐(ひも)にする技法を用いている。美しさ、耐久(たいきゅう)性などが認識され、羽織の紐、帯締(し)めとして使われるようになった
『手仕事の匠たち 千葉職人紀行』(清野 文男 写真・文、崙書房出版、1991)
『千葉県指定伝統的工芸品一覧 [2023] 房総に息づく手づくりの技』(千葉県商工労働部観光企画課、2023)
『千葉県の諸職 千葉県諸職関係民俗文化財調査報告書』(千葉県教育委員会 編集、千葉県文化財保護協会、1986)

9

下総鋏
(しもうさばさみ)

下総鋏は、千葉県松戸市で作られている。
1876年の廃刀令で刀を作れなくなった鍛冶(かじ)屋が始めたとされている。
鉄と鋼、この2つの素材で作られている鋏(はさみ)は火とハンマーと技術で美しく、切れ味のよい鋏が生まれる。
『ポプラディアプラス日本の地理 2 関東地方』(ポプラ社、2020)
『手仕事の匠たち 千葉職人紀行』(清野 文男写真・文、崙書房出版、1990)

10

大漁旗
(たいりょうばた)

大漁旗は、千葉県銚子市を中心に作られている。
大漁旗は文字どおり沖に出た漁師が、陸で待つ者に豊漁をいちはやく知らせる目印として船首に掲(かか)げた旗。今は、漁船の進水式につかわれるほか、結婚式、出産祝等の贈り物にもなっている。
『千葉県の伝統的工芸品 千葉県伝統的工芸品の実態調査報告書』(千葉県工業試験場生活工芸課編著、千葉県工業試験場、1990)
『ポプラディアプラス日本の地理 2 関東地方』(ポプラ社、2020)

11

建具組子
(たてぐくみこ)

建具組子は、千葉県いすみ市で作られている。
飛鳥時代から永い年月をかけて磨(みが)き抜かれた木工技術。
木片と木片を微妙(びみょう)な角度をつけてつなぎ合わせ、接合部分にも釘を用いず緻密(ちみつ)で美しい組子の細工を施した衝立(ついたて)等が製作されている。
『千葉県指定伝統的工芸品一覧 [2023] 房総に息づく手づくりの技千葉県指定伝統工芸品一覧』(千葉県商工労働部観光企画課、2023)
『「千葉県の伝統的工芸品」房総の匠百人展』(千葉県立上総博物館編集、千葉県立上総博物館、2007)

12


(たる)

樽(たる)は千葉県野田市を中心に作られている。
野田市の樽づくりは明治時代からさかんになった。
樽は杉の木を材料に作られた入れ物。くぎを使わず、何枚かの板を結い合わせて竹のたがでしめつけるようにして作られている。 桶(おけ)とのちがいはふたがあること。しょう油を作っていた野田では、しょう油を運ぶための容器として樽を使っていた。
『町と村調査研究 第5号』千葉県立房総のむら 2003年所収乙竹孝文ほか「野田の樽 その歴史と技術」

13

銚子縮
(ちょうしちぢみ)

銚子縮は千葉県銚子市で作られている織物である。
つくり始められたのは江戸時代と言われている。
木綿の糸を強くねじって織ることで、布にシボと呼ばれる凹凸(おうとつ)ができ、独特の肌(はだ)ざわりのよい布ができる。一度生産がとだえたが、第二次世界大戦後に常世田眞次郎(とこよだしんじろう)氏により復活した。銚子縮はゆかたや着物として仕立てられるほか、漁師の大漁袢纏(たいりょうばんてん)やのれん、ネクタイ、ハンカチなどに加工されている。 千葉県の無形文化財の指定を受けている。

『ふさの国の文化財総覧 第2巻 海匝・香取・印旛』(千葉県教育庁教育振興部文化財課 編集、千葉県教育庁教育振興部文化財課、2004)
『千葉県の指定文化財第11集』(千葉県教育庁生涯学習部文化課 編集、千葉県教育委員会、2001)
『新・繊維総合辞典』(繊維総合辞典編集委員会 編、繊研新聞社、2012)

14

唐桟織
(とうざんおり)

唐桟織は、千葉県館山市で作られている織物である。
江戸時代に、オランダから輸入され、南インドのセント・トーマス(サントメ)からやってきた織物を日本でもまねて織るようになった。館山では明治時代から齋藤茂助によって唐桟織が織られるようになった。
唐桟(とうざん)とはしまもようの織物のひとつ。 唐桟留(とうざんどめ)や桟留縞(さんとめじま)とも言い、のちに唐桟織と呼ばれるようになった
『日本の伝統染織事典』(中江克己著、東京堂出版、2013)
『染と織の鑑賞基礎知識』(小笠原小枝著、至文堂、1998)
『すぐわかる<産地別>染め・織りの見わけ方』(丸山伸彦監修、東京美術、2012)

15

野田醤油
(のだしょうゆ)

野田醤油は千葉県野田市を中心に作られている。
野田で醤油が作られ始めたのは、450年程前、江戸時代である。
原料となる大豆や小麦、塩が近くで取れ、その原料を江戸川や利根川を使って船で運ぶことができたことから作られるようになった。 また多くの人が住んでいて消費量の多い江戸にも、船を使って、早くたくさん送ることもできた。醤油は蒸した大豆と炒(い)った小麦に麹菌(こうじきん)を混ぜ、塩水につけて発酵(はっこう)・熟成させて作られる。
『わたしたちの野田市 3年』(「わたしたちの野田市」編集委員会 編集、野田市教育委員会、2020)
『21世紀に伝えたいちばの魅力 Part1』(京葉銀行、2002)

16

房州うちわ
(ぼうしゅううちわ)

房州うちわは、千葉県館山市・南房総市(旧:房州)で生産されている。
明治時代から作られるようになった。
明治時代に女竹(めだけ)の産地であった房州(館山市・南房総市)で生産されてるようになった。柄(え)と骨が1本の竹から作られ、柄が丸いうちわで日本三大うちわの一つ。(他:京うちわ・丸亀うちわ)手のこんだ熟練の作業を経て完成され、丈夫で美しい格子模様が特徴である。 平成15年(2004)に、千葉県で初めて経済産業大臣指定伝統的工芸品に認定された。
『調べる!47都道府県伝統工芸で見る日本』(こどもくらぶ 編、同友館、2018)
『伝統工芸のきほん 5 和紙と文具』(伝統工芸のきほん編集室 編、理論社、 2018)
『調べてみよう!日本の伝統工芸のみりょく 6 住にかかわる伝統工芸』(伝統的工芸品産業振興協会 監修、ポプラ社、2020)
『千葉県指定伝統的工芸品一覧 [2023] 房総に息づく手づくりの技』(千葉県商工労働部観光企画課、2023)

17

房総打刃物
(ぼうそううちはもの)

房総打刃物は、千葉県成田市で作られている。
ラシャ切狭(きりばさみ)は、明治になって洋服裁縫(さいほう)の伝来と共に伝えられた。
日本古来の刀鍛治(かじ)の技術をいかした総火造りで作られている。
『千葉県指定伝統的工芸品一覧 [2023] 房総に息づく手づくりの技』(千葉県商工労働部観光企画課、2023)
『事典日本の地域ブランド・名産品』(日外アソシエーツ株式会社編集、日外アソシエーツ、2009)

18

本納絵馬
(ほんのうえま)

本納絵馬は、千葉県茂原市本納で生産される手作りの絵馬である。
江戸時代後期から継承(けいしょう)されてきた伝統的工芸品である。
絵馬はさまざまな悩みや願いごと、あるいは、念願成就の感謝のしるしとして寺社に奉納(ほうのう)するものである。本納絵馬は日本画の技術を取り入れ、絵画性の高いものである点に特色があり、図柄(ずがら)は、伝統的な馬、キツネ、牛、天神などである。
『手仕事の匠たち 千葉職人紀行』(清野 文男 写真・文、崙書房出版、1991)
『千葉県指定伝統的工芸品一覧 [2023] 房総に息づく手づくりの技』(千葉県商工労働部観光企画課、2023)

19

万祝
(まいわい)

万祝は、漁師の間で広まった大漁を祝う晴れ着のことである。大漁があったときに、船主や網元(あみもと)から漁師に配られ、揃(そろ)ってこれを着て社寺などにお参りし、大漁感謝、航海安全などを祈った。万祝の絵がらには、縁起のよいものや漁のようすなどが描かれている。
江戸時代後期から戦前にかけて房総半島一帯から各地に広まったとされる。
中でも、鴨川市で作られている鴨川萬祝染(まいわいぞめ)や萬祝半天、銚子市で作られている萬祝式大漁旗(まいわいしきたいりょうばた)は、千葉県指定伝統的工芸品に指定されている。
『「千葉県の伝統的工芸品」房総の匠百人展 展示解説図録』(千葉県立上総博物館 編集、千葉県立上総博物館、2007)
『子どもに伝えたい和の技術 9 漁』(和の技術を知る会 著、文溪堂、2018)

20

八千代びな
(やちよびな)

八千代びなは千葉県八千代市で作られている。
八千代びなという名前は、第3-8代市長であった中村和平氏が命名した。
人形は、工匠(こうしょう)一人で作りあげられる。衣装は渋(しぶ)い草木染めの本造り、本仕立という特徴(とくちょう)がある。
『手仕事の匠たち 千葉職人紀行』(清野 文男写真・文、崙書房出版、1990)
『千葉県の伝統的工芸品 千葉県伝統的工芸品の実態調査報告書』(千葉県工業試験場生活工芸課編著、千葉県工業試験場、1990)

こどものページへもどる