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初心者のための 判例の調べ方 2

判例を最初に調べるときに手がかりとなる主な情報を,初心者向きにやさしくご案内します。第2回は、いろいろな判例集や判例掲載誌についてご紹介します。【2012年12月26日改訂】

目次

1 判例について知る

  判例とは,広い意味では過去の裁判における判決や決定のことですが,狭義では過去の裁判の原則が現在の裁判に対して拘束力をもつものを指しています。裁判は,判例を参考にして行われるため,判例は先例として重要な役割を持っていることになります。

 我が国の裁判は,三審制,つまり第一審(地方,家庭,簡易の各裁判所),第二審(高等裁判所),第三審(最高裁判所)から成り立っています。最高裁判所の下に4種類の下級裁判所が存在することになります。第一審裁判所が3種類あるのは,扱う事件の種類や内容によって分担されているためです。
 裁判の記録は,その裁判を行った裁判所または裁判にかかわった検察庁に保管されていますが,そのすべてが公開されているわけではありません。結果を示す判決文が,一部の事件に限って公刊・公開されているにすぎないため,見つかる可能性は低いと言えます。しかしながら,重要な判例ほど繰り返し引用されますので,そういったものについては比較的簡単に見つかるとも言えます。
 ちなみに,日本全国の裁判所での1年間の新規受付受理件数は,400万件を超えています(参考:最高裁判所司法統計)。

2 最高裁判所の判例

<こんな資料があります>

書名略 称登載年月出版情報所蔵館・場所

最高裁判所判例集

(最高裁判所民事判例集・
最高裁判所刑事判例集)

民集
刑集

S22.11~現在 最高裁判所判例調査会 月刊(年7~11号) (中)判例雑誌

 最高裁判所の重要な判例を掲載。最高裁判所民事判例集(民事事件・行政事件)と最高裁判所刑事判例集(刑事事件)の両方が掲載されています。毎年発行される索引で,法条,事件番号,裁判年月日からその年の判例を探すことができます。
途中欠号がありますので,ご不明な点はお問い合わせください。

最高裁判所裁判集<民事>要旨集 S37~H8 最高裁判所判例調査会

(中)法情報
32409/○/○

最高裁判所裁判集<刑事>主要裁判例要旨集 S22~H9 最高裁判所判例調査会 (中)法情報
32609/○/○
 最高裁判所の主要な判例を掲載。民事は,民法・民事関連法・民事訴訟法・商法・社会経済法の各編から,刑事は,刑法・刑事訴訟法の各編から構成されています。
裁判所時報 裁時 H6.12~現在 最高裁判所事務総局 (中)新聞雑誌
 最高裁判所の判例を速報している他,最高裁判所の判例要旨を掲載しています。途中欠号があります。

3 大審院の判例(明治 → 昭和前期)

大審院とは,現在の最高裁判所にあたるものです。

<こんな資料があります>

書名略 称登載年月出版情報所蔵館・場所

大審院民事判例集

民集

T11.1~S21.1 法曹会 全46巻 (中)一般書庫 324/D27/

大審院刑事判例集

刑集

T11.1~S22.3 法曹会 全30巻 (中)一般書庫 326/D27/

 大審院の重要な判例を掲載。民事事件と刑事事件で,冊子が分かれています。

大審院民事判決録 民録 M28~T10 新日本法規出版 縮刷版 (中)一般書庫 324/D27/
大審院刑事判決録 刑録 M28~T10 新日本法規出版 縮刷版 (中)一般書庫 326/D27/
大審院の判決中,他日の参考に供すべきものを,判決日順に収録しています。
明治前期大審院民事判決録 M8.7~M20.12 三和書房 復刻版 (中)一般書庫 324/D27/
明治前期大審院刑事判決録 M8.6~M16.11 文生書院 司法省蔵版 (中)一般書庫 326/D27/
明治21年から23年分は刊行されていません。また,刑事事件については,明治17年12月分と18年分も掲載がありません。

4 下級裁判所の判例

<こんな資料があります>

書名略 称登載年月出版情報所蔵館・場所

東京高等裁判所判決時報

H17.1~現在 法曹会 中 判例雑誌
東京高等裁判所の裁判例の中から選んだものについて,その主要部分を収録したものです。

高等裁判所判例集
(高等裁判所民事判例集・
高等裁判所刑事判例集)

高裁民集
高裁刑集

S23.12~H14.8

判例調査会 中 新雑電動
各高等裁判所の判例委員会が選んだそれぞれの高等裁判所の裁判を登載しています。

途中欠号があります。

刑事裁判月報

(下級刑集の改題)

刑裁月報 S44.1~S61.6 法曹会 中 新雑書庫

西 新雑書庫

 下級裁判所刑事裁判例集を改題したもの。昭和61年(第18巻5・6号)で終刊となっています。中央図書館では,上掲の期間の所蔵がありますが途中欠号があります。西部図書館では昭和60年3月以降を所蔵しています。

下級裁判所民事裁判例集 下級民集 S25.1~S59.8 法曹会 中 新雑書庫
下級裁判所刑事裁判例集 下級刑集 S34.1~S43.12 法務省 中 新雑書庫

下級裁判所の民事事件,刑事事件の中から選択して収録したもの。昭和62年(第35巻5-8号)で終刊となった民事については,当館の所蔵は上掲の年月まで。途中欠号があります。

5 判例掲載誌について(略語表記の一覧)

 判例集や法律関係の雑誌を出典として掲載する場合,略語で表記することが慣例となっています。こうした文献略語について,代表的なインターネットのサイトや掲載雑誌をご紹介します。分かっている略語から正式な掲載雑誌名などが特定できます。

【例1】 最 (大) 判 平成20・9・10 民集 62巻8号 2029頁
     ア イ ウ  エ     オ カ   キ

 ア=最高裁判所, イ=大法廷(※), ウ=判決, エ=平成20年9月10日, オ=掲載誌が「最高裁判所民事判例集」, カ=掲載してある巻数・号数,
キ=掲載してある最初の頁 (※)アが「大」の表記の場合は「大審院」を,アイが「最(一小)」の表記の場合は,「最高裁判所第一小法廷」を表しています。

【例2】 名古屋地裁 平18 (ワ)第503号 平21.2.24判決 判タ 1301号 140頁
      ク    ケ  コ    サ       シ  ス  セ

 ク=名古屋地方裁判所, ケ=裁判所に訴訟が提起された年(平成18年), コ=事件記録符号(事件の種類)・事件受付番号, サ=平成21年2月24日判決, シ=掲載誌が「判例タイムズ」, ス=掲載のある号数, セ=掲載してある最初の頁

サイト名・雑誌名提供元作成者

法律文献等の出典の表示方法
  法律編集者懇話会作成

法教育支援センター Web公開 NPO法人法教育支援センターHP
 法律関係の雑誌,書籍の出版に携わる編集者で組織する懇話会が作成したものがPDF公開されています。雑誌論文や単行本,判例などの出典の表示方法を理解するのに役立ちます。
日本の判例集・法律文献略語一覧 福島大学 Web公開 福島大学附属図書館HP

戦前・戦後の判例集,判例雑誌,主要法律雑誌,法律関係大学紀要が種別ごとに分かりやすくまとめられています。特に,法律関係大学紀要の一覧は役に立ちます。
(注)リンク先の所蔵の有無は,福島大学附属図書館の所蔵状況です。

法律雑誌 日本評論社 日本評論社編集部
雑誌は毎月1回発行ですが,文献略語表の掲載は年に1回で,2011,2012年は1月号に掲載されています。インターネットに接続する環境がないときには,参照するのに役立ちます。刊行頻度が示されていて便利です。

6 もっと知りたい方へ~判例の読み方・調べ方

 <こんな資料があります>

書名出版情報請求記号

やさしい法律情報の調べ方・引用の仕方

小林成光[ほか]著 文眞堂 2010 中3207/18
 法律情報の調べ方および法文献の引用の仕方についてわかりやすく解説した入門書。日本の法律情報のほか,イギリス法、アメリカ法、ドイツ法についての解説もあります。
リーガル・リサーチ いしかわまりこ〔ほか〕著 4版 日本評論社 2012 ※西,東所蔵:3版(2008)

中 3207/12
西 3207/11
東 3207/14

 判例の基本的知識,判例が載っている具体的な判例集,雑誌,データベース,判例の実際の探し方,判例の解釈や評釈の調べ方などが,わかりやすく解説されています。
判例とその読み方 中野次雄 編集 3訂版 有斐閣 2009 中 32098/5
 判例とはどういうもので,どう作られ,実務をどう拘束するか。各分野の実際の判例をあげて読み方を示し,判例が果たす機能などについて解説してあります。
実践判例検索 リーガル・リサーチ研究会 編集 第一法規 2007 中 32098/8
 効果的な判例検索ないしリーガル・リサーチを実現する指南書。判例を効果的,かつ効率的に検索するための実践的方法を具体的に提案しています。
中:中央図書館,西:西部図書館,東:東部図書館

7 見つからなかったとあきらめる前に

ここにご紹介した以外にも多くの判例集が存在しています。千葉県立図書館ホームページの「図書・雑誌・視聴覚資料検索」で,検索条件のキーワード1:書名に「判例集」もしくは「裁判例」などを入れ,キーワード2の右側のプルダウンから全項目を選択し,お探しになっているキーワード(例えば「知的財産」)を入れて(掛け合わせて)検索する方法もあります。

なお,県立図書館の蔵書になかった資料については,国立国会図書館や最高裁判所図書館で所蔵している可能性があります。以下のサイトや蔵書検索システムで探すことができます。
国立国会図書館のご利用については満18歳以上の方が,また最高裁判所図書館については学術研究を目的とする18歳以上の方がご利用になることができます。詳しくは,各図書館のホームページでご確認ください。

 キーワードに「判例」,「判例資料」や「判例検索」と入れて検索します。「日本-判例資料」,「関西でしらべる:判例」,「官報・法令・判例検索(日本)」で判例の調べ方がわかります。

 最高裁判所所蔵の図書や雑誌の検索ができます。平成17年1月以降出版の図書や雑誌は,法条文,事件番号,裁判年月日で検索できます。

<参考文献>『やさしい法律情報の調べ方・引用の仕方』(小林成光[ほか]著 文眞堂 2010)

【ご利用にあたって】図書館では,個別の事案に関する法律判断や法律相談はお受けできませんので,弁護士等の専門家にご相談ください。

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